ONCE ダブリンの街角で

男はダブリンのグラフトンの通りで、ストリートミュージシャンをしている。そこへ雑誌や花を売っている女が現れ、10セントのチップを差し出した。男を質問攻めにし、翌日に掃除機の修理を約束させた。翌日、壊れた掃除機を引きずって女が現れた。そして、彼女がピアノを弾くという楽器店に二人で立ち寄る。そこで彼は、彼女のピアノの腕前を確信し、自分が書いた曲を一緒に演奏してみないかと持ちかけるのだった。素晴らしい二人のセッション。彼はその演奏に喜びを覚え、彼女に惹かれていく。やがて、二人は打ち解けあう。だが、マンネリから抜けられない彼は、自分を変えてみたいと思い、ロンドンへ渡る決心を告げる。そして、彼は最後の週末を一緒に数曲レコーディングしたいと提案するのだった。レコーディングは無事終了し、車のスピーカーで聴いてみようと、みんなで浜辺まで出かける。彼らも時間から解き放たれ、子供のようにはしゃぐ。だが終わりの時は近づいていた。街に戻った二人は向き合い、彼女も完成したＣＤを受け取る。彼は翌朝ロンドンへ発つのだ。二人は別々の道を歩んでいくのか。あるいは一時の別れになるのか。二人が出会った街角でメロディだけが流れていた。